WAVE出版編集部による作品紹介(文責:飛田淳子)
ジュニア版刊行の経緯
オリジナル版12星座シリーズは2010年の発売から5年経ったいまもジワジワと売り上げを伸ばし、累計120万部というベストセラーに成長しました。
今回の企画は、オリジナル版愛読者のみなさんから、「子どもに読ませたい」とのリクエストを受けたこと、学校図書館の司書の先生方が「ルビがふってあれば、小学生にも紹介できる……」とご提案くださったことがきっかけです。
幻の原稿!?
いまからちょうど1年前、サンプル原稿(サンプルといっても1冊分の完全原稿)が、石井ゆかりさんから届きました。
担当編集者の該当星座である「射手座」の原稿です。
それはなぜか2種類ありました。
「2人称」(「あなた」を主語にしたもの)、「3人称」(物語形式になったもの)の2種類を書いてくださったのです。
3人称の原稿を書いてくださった理由は、「占い」というものが、人の心を励ましたり勇気づけたりする反面、選ぶ力がまだじゅうぶんではない子どもを「信じ込ませてしまう」怖さがある、との判断からでした。さらに、石井さんは、占いが友人関係にダイレクトに影響する(仲間外れのきっかけになる)という懸念を強くお持ちでした。 3人称のほうは、射手座の子ども「フィリア」が登場し、「はじめに」にはこんな説明がありました。
「あなたとフィリアは、似ているでしょうか。もし似ているとしたら、あなたもとても「射手座らしい人」ということになります。もしちがっているところがあれば、それは、「射手座」という枠を超えた、あなた自身の個性です。
目の前にふたつの原稿があります。
3人称のほうは、物語としてすばらしい。自分の星座ではなくても、興味深く読める。
2人称のほうは、「射手座は」と語りかけられる=自分のことと思えることで、このシリーズの素晴らしさである、「自分自身にたいする、明るい肯定感」「未来への希望」などを最大限感じられます。
さまざまな人の意見を聞いてみた
子どもの心とその友人関係を間近でみている人々の意見も伺いたいと思いました。
そこで、2種類の原稿を、小学校教諭、小学校図書館司書、児童書出版のプロ、そして、読者対象となる小学校中学年の子どもをもつ親御さん、4年生のお子さんに読んでもらいました。
すべての人が、この本が仲間はずれの原因になったり、信じ込ませて子どもの心に悪影響を与えたりする心配はない、と感想をくださいました。

結果、やはり、「2人称」でいくことになりました。
表紙絵を人物で!
他社さんの本すべて含めても、いままで石井ゆかりさんの占いの本に、人物が使われたことはありません。しかし、今回は子どもたちが読者ということで、親しみやすく身近に感じられるように、と、「人物」の絵をカバーに使うことに決めました。
それではどなたに描いていただくか。
たくさんの候補のなかで、迷いに迷ったのですが、デザイナーの中嶋香織さん(中嶋さんご自身もイラストを描かれる)から推薦いただいた、平澤朋子さんにお願いすることに決まりました。
ラフをいただく前に、石井さんから、その星座ごとの特徴や色、小物、モチーフなどのレクチャーを受けることに。その打ち合わせ時、平澤さんが用意してくださったA3の紙を見て、びっくり! 12等分に分けたその用紙に、びっしりと、それぞれの星座のキーワードが記されていたのです。「オリジナル版のほうをじっくり読んで、書き出してみました」との平澤さん。その、気合いに、一同感動しました。
もちろん、仕上がったイラストも、「かわいいーーー!」と、スタッフ一同大好評。カバーだけでなく、本文のカラーイラストもとても素敵で、それぞれの星座の特徴がよくあらわれています。
読者対象は??
価値観、行動パターン、のびのびできる場所、恋をしたとき、落ち込んだとき、才能のかがやきなど、ほかにない切り口で星占いのメッセージを綴っているのは、オリジナル版と同じです。ただし、「相性」の章はあえて省くなど、ジュニアに向けてできるかぎりの配慮をしました。
小学校1年生から読めるようすべての漢字にルビをふりました。コア読者は小学5年生から、中学3年生ぐらいかと思います。しかし、高校生でも大学生でも大人が読んでも、すーっと心に入ってくる、年齢を問わない内容になっています。
ぜひ店頭で!
開きやすい造本、やわらかい本文用紙、美しい色合いのイラストなど、実際に触れて、ひらいて、立ち読みして、選んでいただきたい、というのが切なる願いです。
オリジナル版とどれだけ変わっているか、難しい概念をいかにやさしく噛み砕いたことばで表現し直してあるかも、どうぞ実物をご覧いただきたいと思っております。
牡羊座 ARIES
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-828-2
牡羊座の人は、「負けず嫌い」といわれます。
「リーダー的存在」になる、という記事もよく見かけます。
でも、その「負けず嫌い」の気持ちや、なぜかリーダーに「なってしまう」のはなぜなのか。その理由が、言葉を尽くして書かれていて、思わず納得してしまいました。

「負けず嫌いなのに、負けをみとめる」という勇気と正直さ、自由と正義を守るためにたたかう姿勢ほか、牡羊座の人の素晴らしい長所が、石井さんならではの「ことば」で表現された1冊です。
本人だけでなく、牡羊座のまわりの人々にもぜひ読んでいただきたいと思います。
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牡牛座 TAURUS
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-829-9
どうして、牡牛座の人がそこにいるだけで、場が心地よくなるのか。
なぜ、牡牛座の人と一緒にいると、おいしいものがもっとおいしく、美しい音楽はより美しい音色に感じられるのか。
「感覚」の星座である、牡牛座を解説した本書を読んでいると、そのメトロノームのような安定した「感覚」に、周囲にいる人が、どれだけ助けられているかよくわかります。

長所や才能のかがやきのほか、「落ち込んだとき」「恋したとき」など牡牛座の人のさまざまな個性が、石井さんならではの「ことば」で表現された1冊です。
本人だけでなく、牡牛座のまわりの人々にもぜひ読んでいただきたいと思います。
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双子座 GEMINI
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-829-9
石井さんは、本文中で、「ことばの魔法つかい」といっていますが、本書の原稿を読んでいると、双子座の人がいかに「ことば」と「物語」にこだわり、ただこだわるだけでなく、そのふたつをつかって、周囲とあたたかいコミュニケーションを結んでいくか、よくわかります。

頭の回転がはやくて、行動がすばやいこと。
二足のわらじをはいて上手に流れをつくりだすこと。
語り手としての魅力、風通しのよい場所を好む性質……。
そのほか、たくさんの「双子座の長所」を、ぜひ多くの人に知ってほしいと思っています。
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蟹座 CANCER
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-831-2
蟹座は、「母性の星座」「家庭的」などといわれますが、本書で表現される蟹座の人は、まったく違うイメージです。
だれかのために勇敢に出かけていったり、自分の気持ちよりも、他人の感情や気持ちをだいじに守ったり、けっして受け身ではなく、能動的に活動をはじめたり。
「やさしい」という印象は共通していますが、美しく勇敢な蟹座の面が描かれているのが興味深いところです。
私のまわりの蟹座の友人に共通する「強さとやさしさ」が、ゆたかな言葉で表現されているのがほんとうにうれしいのです。
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獅子座 LEO
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-832-9
「すごく悩んでいるのに、深刻に見えないのはなぜ?」というのは、実はオリジナル版と同じ帯コピーです。
たくさんの案のなかから、やっぱりこれを選ぶことにしたのは、強く輝く太陽のような星座である獅子座の奥底にある、ナイーブさを見つめる石井さんの「ことば」に惹かれたからでしょう。
生まれつきの「自信」、潔く凛としたまなざし、周囲をも幸せにする「たしかな望み」。
そんな揺るぎない獅子座の長所はもちろん、その愛情ゆえにさみしがり屋だったり、強がったりするナイーブさが描かれているのが、本書のもっともいいところだと思います。
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乙女座 VIRGO
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-833-6
まじめだけど、ユニーク。
口が悪いけれど、人の良いところを見つけるのが上手。
手きびしいけど、めんどうみがよい。
現実的だけど、夢見がち!?
そんな「ふたつの顔」をもつ乙女座の人々。 「ふたつの顔」は、他人のことを真剣に、深く思いやっているから、という著者のていねいな解説に、思わず納得!してしまいます。 乙女座の人はもちろん、その周囲の人々にも、ぜひぜひ読んでいただきたいです。
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天秤座 LIBRA
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-834-3
ていねいに考え、きっぱり決断、かならず実行する。
天秤座の人たちのこれらの特徴が、「不公平」から起こるケンカやいじわるが、大嫌いだという本書の説明から、深く納得できます。
「美の星座」といわれますが、その「美」の定義さえ、ひとりよがりでなく、見た目だけのわかりやすい「美」ではなく、目には見えない美質や美点を見抜く力を持っているところが素晴らしい。平和のために、心のなかにある「てんびん」をつかい続ける天秤座の人の「覚悟」のようなものにふれられる気がする1冊なのです。

ことばで表現しがたい「天秤座の長所」を、ことばを持って説明した、石井ゆかりさんの真骨頂が、ここにあります。
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天秤座 LIBRA
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-835-0
「なんとなく暗いイメージで、自分の星座がいやだな」と思っている人が多いという「蠍座」。
でも、この本を読むとそんな印象は吹っ飛ぶはずです。
蠍座の人がどれだけ深く、ものごとを理解し、ふつうの人が扱いかねるような「たいせつなこと」を、いかに誠実に扱うか。そして、「いのち」の根源をしっかり見据える、真摯なまなざしを持っているか。
制作中、何度も原稿を読んでいるのですが、読むたびに涙がこぼれる箇所があります。
なぜ、蠍座の人が、ほんとうに傷ついている人を「救う」ことができるのか。その「心のしくみ」を、ぜひ読んでいただきたいです。
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射手座 SAGITTARIUS
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-836-7
「思春期のころの自分に読ませたかった!」。
担当編集の私自身が射手座ですので、強くそう思いました。
少女時代、この本に出会っていれば、どれだけ勇気づけられたことでしょう。
グループ行動に違和感があったこと、みんなといっしょにいたいときと、一人でいたいときがいまだにハッキリしていること、本を読むことが「冒険」であるという説明。どれも納得するだけでなく、力強く励まされて、うれしくなるような文章です。
いつものんきなくせに、スイッチが入ると「猪突猛進」する、好奇心旺盛で飽きっぽいけど人との結びつきにおいては飽きっぽくない、などなど、「あるある」的なおもしろさで盛り上がれるのも楽しい1冊です!
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山羊座 CAPRICORN
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-836-7
夢を描いたら、それを現実に変えるために、しっかり考えて、自分から行動できる。そんな山羊座の人の「行動力」が華やかに表現されています。よく「マジメな努力家」と言われる山羊座ですが、べつに「努力が好きなわけではない、なぜならば……」という心のしくみの説明が非常に興味深かったです。
エレガントな立ち居ふるまい、アーティスティックな才能を持つほか、さまざまな山羊座の人のかがやきが、紹介されています。
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水瓶座 AQUARIUS
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-838-1
「人は、自分の人生を、自由に生きられる」ということ。
これが水瓶座の人が、何よりもだいじだと思っていることだそうです。
水瓶座の人が「ユニーク」「自由」といわれる理由がよくわかるのはもちろん、本書を読んでいるだけで、心が不思議な開放感をおぼえます。たぶん、石井ゆかりさんの表現する水瓶座の人々が、風通しがよいすがすがしい雰囲気をまとっているからだと思います。
既存の先入観に左右されず、何もないところから考えや思いを立ち上げる、さわやかな水瓶座の特性が、情緒ゆたかな文章で綴られています。
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魚座 PISCES
2016年2月刊行
定価(本体880円+税)
四六変判 並製 136ページ
ISBN4-87290-839-8
「どんなものにもなれる」「決まった概念で定義しがたい」という魚座の人の、心の奥底にあるぜったい変わらないものを、石井さんが、ことばを尽くして表現しました。
勉強の順序を気にしなかったり、すぐに動物や違うグループの人と仲良くなったり、どんな場所でも受け入れてもらったり。なぜ、魚座の人々が、あらゆる境界線を越えられるのか、その「ひみつ」にせまった1冊。
本書を読んでいると、たとえ傷ついても、いつのまにかかがやきを取り戻す、人間の深い生命力みたいなものを感じ、別の星座の私も、おなかの底から勇気がわいてくるのが不思議です。