読む者をやさしく包み込む、いつくしみ溢れる文章が星占いの枠を越えて人気を 集めた「12星座シリーズ」は120万部超えの大ヒット中です。 このたび、大ヒット御礼として、著者の石井ゆかりさんが特別に「12星座シリー ズ」の制作秘話を大公開。これを読めばもっと楽しめます!
皆さまごきげんよう、石井ゆかりです。WAVE出版刊「12星座シリーズ」の著者です。今年発売されました、この12冊の星座本が思いのほか、本気で大好評いただいているとのことで、驚くやら驚くやらでびっくりしております。 私は元々、ネットを活動の軸に置いておりまして、運営サイト「筋トレ」はもとより、はてなダイアリー「石井NP日記」やツイッター@ishiiyukariなど、いろんな窓口で直接、読者の方のご感想をいただいております、有り難いことです。 そうした場で、しばしば「帯コピーに吹きました」「カバーのモチーフに意味はあるのですか?」などのご感想・ご質問を目にします。本というのは著者の名前ばかり表に出ておりますが、実際は企画段階から編集者・イラストレーター・デザイナーなどの制作陣、印刷屋さん、DTPのご担当者さん、出版社の営業様、そして書店様など、様々な「スタッフ」がうごめく中で形作られておりまして、著者がやることなんかほんのちょぴっと、なんでございます。 そんなわけで、この場をお借りいたしまして、この本の外回りにどんな意味が込められているのかを、ちょっとだけチラリズムしたいと思います。この「込められた意味」自体が占いになっておりますところがミソです。 特に、大好評の帯コピーにつきましては、編集者・飛田さんがウンウン呻って数案考えた後、彼女自身の友人知己から当該星座の人を探し出し、「どれがいい?」と訊いてまわって作りあげた血と汗と涙の結晶であるわけなのですが、カバーのモチーフと併せまして、ご紹介いたします。
牡羊座 ARIES 12星座中、いちばん「この占いは当たってない」と主張するのが、牡羊座。
このコピーは著者の経験的事実です。それでチキンハートな著者はいく度か傷ついた経験もあるのですが(爆)、その理由もちゃんと星座の仕組みの中に組み込まれておりまして、それは本文を読んでいただければと思います。カバーは、著者からの「牡羊座は、元気いっぱい、ポップ、明るい、キャンディーカラー、赤、レゴ、シンプル」などというキーワードからイラスト担当のスドウピウさんが連想してくれました。原画は木彫りです。元気で無邪気で純粋無垢な牡羊座の「かわいらしさ」の面が、直球でばっちり出ていると思います。一目で納得でした。
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牡牛座 TAURUS ケーキ、お菓子、甘いもの、料理、美しい庭、鉢植え、花を育てること、花を活けること、リボンや布、ピアノ、ネックレス。すべて、牡牛座の世界に属するもの。
結果的に牡牛座の文字数が一番多くなりましたが、牡牛座は「コレクター」的なマインドを持つ星座なので、「語数が多くてお得!」と感じていただけた向きも多かったようです。カバーのモチーフで一番「やりなおし」が嵩んだのがこの牡牛座でした。「おいしそうな感じで」という著者の指示に、スドウピウさんは案1:ジンジャーマンクッキー(←「人型」が獣星座の牡牛座に合わず却下)、案2:どうぶつクッキー(←大型動物は射手座等の管轄で却下)などの試行錯誤をかさね、最後にお花形のクッキーにたどりつくという紆余曲折がありました。
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双子座 GEMINI 双子座が、「レストランのメニュー」をじっくり読む理由は?
文字中毒の人が多い星座です。なんでも「読み物」だと思っているフシがあり、レストランのメニューどころかシャンプーや化粧品の注意書きすら読み込んでいることがあります。それらはすべてウンチクに変わります。カバーについて「翼、あかるさ、さわやかさ、パステルカラー、複数モチーフの組み合わせ」などというキーワードを出したところ、小鳥とお花のペアが出てきました。全体に文房具っぽい(手帳っぽい)雰囲気が一番強いのがこの双子座だという気がするのですが、文房具も立派な双子座の一員で、このあたりも納得のデザインです。
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蟹座 CANCER 誰よりも臆病なくせに、誰よりも、危険な場所につっこんでいく。「母性的」なんて、とんでもない!蟹座の勇敢な愛の世界。
何をかくそう著者自身が蟹座であるため、蟹座は少々やりにくいのです(爆)。蟹座と言えば一般に「母性的」というキーワードが頻出しますが、最近ではこれを粉砕するのが快感になってきました(嘘です)。帯コピーは12星座中でも1〜2を争う「ぷっ(笑)」系の優秀作品です。カバーデザインについては、蟹座は水に関係が深く、特に貝殻や真珠などが縁続きなので、そこを直球で使っていただきました。色目はグレーに見えるのですが、心の目で見ればどう見てもシルバーにしか見えないはずです。蟹座は月と結びついているためパールや銀は蟹座色です。
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獅子座 LEO ものすごく悩んでいるのに、深刻に見えないのはなぜ?
この表紙が最も賛否が分かれましたが、私の中では「一番ハデでカッコイイ」デザインです。色はボルドー、モチーフは「黄金に輝く甲冑」のイメージです。獅子座しばしば「ハデ」と称されますが、私に言わせれば「最も強そうでカッコイイ」星座です。ものすごく悩んでいるのに深刻に見えないのは「強がり」だからです。獅子座の方からのお悩み相談は「大丈夫そうだ」とスルーしてしまうことがあるので、気をつけたいです。ぐっさり傷ついてるのに平気な顔をする獅子座、ほんとは繊細で健気な星座です。そのあたりのことが書いてある本です。
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乙女座 VIRGO 地に足がついていて、「ひとりよがり」が嫌いで、でも、実は、とってもユニーク。
「乙女座」というとなよなよと弱そうなのですが、実は非常に強い星座です。カバーの少女の「近所のおっかない強い、でもいざというときめっちゃ頼りになるおばちゃん」的な姿勢にそのあたりが出ております。とはいえ彼女が手にしているのは、庭ぼうきではなく「麦の穂」です。樹木とか穀物とかは乙女座に関係が深く、クラフト、工作というのも乙女座の管轄です。リボンのモチーフにそんな器用さが表現されています。ちなみに、乙女座男子の口からは不思議と「かぶりもの」の話が出ます。トナカイの着ぐるみとか、時々、かぶりたいらしいです。
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天秤座 LIBRA 天秤座はまるでバッハの音楽のよう。多面的で精妙。愛と美を担う人々。
ここだけの話、天秤座の文章はわれながらとても「よく書けた」ような気がします。この芥子色の帯の手触りは何とも言えません。蟹座、獅子座、射手座、水瓶座あたりのコピーは「冗談解るよね」的な感じで笑いが入ってますが、天秤座を茶化すなんて怖くてとてもできません(爆)。もとい、そうしたゆるみがあまり似合わない星座なんだと思います。カバーデザインについてはとにかく「おしゃれに、かっこよく、洗練された感じで、大人っぽく」とお願いしました。そんな大雑把なキーワードでそうできちゃうスドウさんとデザイナーの石松さん、さすがです。
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蠍座 SCORPIO 一度決めたら、心情的にも、立場的にも、決して「逃げない」。相当厳しい状況に立ち至っても、愛を持って引き受ける。
最も「想定外」と評された装丁です。装丁だけに。ぶっ。蠍座はたいてい、セクシー、秘密等のキーワードが当てられ、色味は黒とか濃紅とかがくるのですが、ここは敢えてそうした予想を裏切る作戦に出ました。カバーデザインに関する指示はずばり「勝負ぱんつ」です。嘘です。でも、レースで表現された「森」やピンク色が、透明感溢れるセクシーさを醸し出しているのは事実だと思います。この「森」は無意識の深さを表しています。蠍座はこだわりの強い星座ですが、その「こだわりポイント」が解りづらいので、蠍座の友達・パートナーがいる方は本書、必読です。
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射手座 SAGITTARIUS 「この先危険、立ち入り禁止」という立て札ほど、射手座の心を惹きつけるものはない。
すごく格好いい仕上がりです。古びた感じを出すため、スドウさんは原画をガスであぶってちょっと焦がすという荒業に出ました。積み上げた本はそのブルーにより「海」をも象徴しています。裏面に象がいるのは射手座が「大型動物」を象徴する所以で、他に射撃も射手座の管轄です。2009年7月の日食に亡くなったthee michelle gun elephantのギタリスト、アベフトシ氏は射手座でしたが、ファンである著者はこの本のカバーに奇しくも「エレファント」が載っているのを見て、胸が震えました(涙)。ちなみにこの本の編集者・飛田さんも射手座です。
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山羊座 CAPRICORN 「夢」を「実現」できる人々。地味なんてとんでもない!明るくパワフルで勇敢な星座。
山羊座は蠍座と並び、本人に「この星座であることがイヤ」と言われてしまう嫌われ星座なのですが、一般的な「慎重、努力家、ジミ」というキーワードは山羊座の人たちの実状にほとんど当てはまりません。つまり「誤解された星座」なのです。山羊座は一言で言うなら「グレース」。ちょっと悪い言い方をするなら「ものがいい」のです。お城とか、優雅な大人の女性とかのイメージでお願いします、と言ったところ、何となく優美な感じさえするデザインに仕上がりました。経験的に、山羊座は美女が多い気がします。気のせいかもしれませんが(爆)。
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水瓶座 AQUARIUS 宇宙人とも友達になれる。既成概念にまったく左右されず、ゼロから思考する人々。
この装丁が実は一番お金がかかっているのです。カバーをとると素晴らしい銀色の肌が姿を現しますし、銀色の帯の紙にもミラクルな予算がかかっているとのことです。水瓶座の帯コピーはあやうく「12星座中、一番モテる。」になるところでした。編集の飛田さんが「決めました!」と宣ったとき、私が慌てて「水瓶座は客観クールだから『そんなことない』でばっさり切り捨てだよ!」と止めました。そして決まったこのコピーを見て、客観クールな水瓶座の人は必ずといってイイほど、こう言います。「ま、人間だって宇宙に住んでる以上、宇宙人だよね」と。
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魚座 PISCES  あらゆる境界をやすやすと越える。無限の愛で世界を包み、自他の悲しみや苦しみを引き受ける人たち。
一見和風にも見えるこの美しい装丁は「流線型、エキゾチック、二重性、精神的」等のキーワードをもとに起こしていただきました。シリーズの中では一番静かな色調ですが、見つめていると不思議と、音楽的な静謐が心に湧きます。魚座の「境界越え」の才能は「気がつくと至近距離にいる」「いきなり間合いを縮める」などの魔術的行為を可能にします。私の中では、井上雄彦さんの『バガボンド』の佐々木小次郎は魚座です。ちなみに『聖☆お兄さん』のイエスは射手座、ブッダは乙女座です。私の中で。ふ。(読んでない方わかんないですね、すみません)。