こんにちは、石井ゆかりです。
昨年『3年の星占い2015年-2017年』という、12星座別、12冊の本を出させていただきました。その冒頭に「プロローグ」として、短い小説を書いてみました。
なぜそんなことをしたかというと、星占いで用いる「時計の針」である惑星は、多くが肉眼で見えることを、皆さんに知ってほしかったからです。
また、もうひとつの理由として、「運勢」が、イイか悪いか、というだけの物差しではなく、意味や中身の詰まった、私たち一人ひとりの物語なのだ、ということを伝えたかった思いがありました。

この「プロローグ」を読んでくださった皆様から、
「小説のこの部分には、深い意味があるのですか?」
「どうしてこういう設定になったのですか?」
というお問い合わせをいただきましたが、皆様のご想像の通り、細部に星占い的な「象徴」を仕込んでみたところがあります。
つきましては、このページで、小説のあらすじと、ちょっとした「種明かし」をやってみたいと思います。
まだ『3年の星占い』を手に取っていない皆様にも、興味を持っていただければとてもうれしいです。
牡羊座 ARIES
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-716-2
夜明けの海辺に主人公が立っていると、近くの島からボートがやってくるシーンです。
主人公が「星を見ていた」と言うと、ボートを下りた人が「私の星がわかりますか?」とたずねます。
実は、牡羊座だけが、主人公が星を語るかたちになっています。ほかの星座では、主人公は星のことをよく知らない設定なのです。これは、牡羊座が「自己」の星座であることから連想しました。ここでは、主人公も、ボートに乗っていた人も、どちらも「牡羊座の人」のイメージになっています。
海とボート、夜明け、という要素のすべてが、「船出」を暗示しています。旅を告げるのは射手座(牡羊座から見て9室、旅や冒険を扱う場所)の土星、愛を告げるのは獅子座(牡羊座にとっての5室、愛や楽しみ、子どもを扱う場所)の木星で、これは2015年の頭の星の配置です。また、最後にボートの主から何か手渡されますが、6月から9月に一度蠍座(牡羊座にとっての8室、ギフトを扱う場所)に戻る土星による描写でした。
いちばん最初に書いたので、牡羊座のストーリーがもっとも抽象的なものとなっています。このシリーズをどんな内容にするか考え尽くしたところで、このプロローグにたどり着きました。私の占いはそもそも、とても抽象的なので、それを具体的にイメージしていただくにはどうしたらいいか、と考えた末の、小説という「具体化」でした。
いつも、こうした「12星座別」のものを作るときは、牡羊座にいちばん時間がかかります。牡羊座ははじまりの星座ですが、牡羊座について書くとき、私も常にものごとを「はじめて」いるわけで、「産みの苦しみ」を感じつつ、私自身も牡羊座の世界をまさに生きているのだなあ、と思います。
ページTOPへ
牡牛座 TAURUS
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-717-9
年明け早々、残業を終えて真夜中にオフィスから出る、という場面からはじまります。この「プロローグ」に出てくる星の配置は、実は2015年前半の「ある日時」の実際の星を決めて、そこから書き起こしています。2015年の年明けは、火星が水瓶座(10室:キャリアや社会的立場を象徴する場所)にあり、牡牛座の人の多くが実際、大変忙しかったのではないかと思います。
1月5日の満月に照らされた真夜中の公園と、それに隣接する「庭」のシーンは、獅子座(4室)の木星の、居場所や家庭といった「場」「個人の所有する場」をイメージして描きました。公園の中を通るというのは、獅子座(人が集まる場)っぽい感じもあります。さらに、2015年夏には木星は牡牛座から見て5室に当たる乙女座に移動するので、子どもや遊びといった5室のテーマもそこににじませました。
牡牛座は五感の鋭い星座なので、闇に香る梅という、濃厚で優美な雰囲気が合うのではないかと思いました。
2012年頃から、土星が蠍座(7室:パートナーシップ、人間関係)に位置しており、人間関係において緊張を感じながら努力を重ねてきた人が多かったかもしれません。そろそろ「それが実って、関係が丈夫に強くなる」こと、そして「大事な人も、幼いものたちも」というのは、これから獅子座(4室:居場所)を抜けて乙女座(5室:愛や楽しみ、子ども)に入っていく木星のイメージを描きました。
梅は、実をつけます。この実を私たちが食用にするには、青酸や強い酸味といったことを解決するために、いろいろ手間暇がかかります。「手間暇をかければ、その豊潤を味わえる」ということを、梅に擬えました。これは、長らく努力を続けてきた人間関係(7室土星)と、これからはじまる乙女座木星(5室)の愛の季節に関するイメージです。乙女座の木星は、ちょっと「手間暇がかかる」感じがあるのです。
ページTOPへ
双子座 GEMINI
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-718-6
オフィスの一場面です。スケジュールをシステム管理しているにもかかわらず、なぜか「黒板を使いたい」という上司がいて、みんな納得している、という設定は、2012年から2015年秋まで蠍座にいる土星をイメージしました。双子座から見て蠍座という星座は「義務・責任・健康・生活習慣・ルーティンワーク」などを扱う場所(6室)に当たります。私はこの場所に、なんとなく「身体的な手ごたえ、アナログ感、細部へのこだわり」などを感じていて、それを「あえて黒板で」という身体性を伴う習慣で表現してみたのです。
スケジュールの共有は、ひとつのメッセージでもあります。2015年夏まで、木星は双子座から見て「コミュニケーション」を象徴する場所(3室)にあるので、この黒板に記入することで、同僚と情報共有する「コミュニケーション」を示すとともに、3室のもうひとつのテーマ「移動、ショートトリップ」を、主人公の休暇に重ねてみました。
「ちょっと怖い人に会いに行く」というのは、2015年9月に射手座に入る土星です。ここは、双子座の人にとって「一対一で関わる他者」を扱う場所です。土星は「時間・権威・積み重ねて達成できること」を象徴します。緊張感があるのですが、人が社会と相対する上で、得がたいものを授けてくれる星、というイメージです。「長老」「老師」のような感じの人物が思い浮かびます。時間をかけてそうした人と関わり、やがてその人が味方になる、という流れは、射手座の支配星である木星が、2015年夏に乙女座(4室:家族、居場所)に入るので、「他人が身内になる」という展開が想定できるからです。
ページTOPへ
蟹座 CANCER
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-719-3
蟹座を支配する星は「月」なので、月にスポットライトを当ててみました。2015年4月4日の月食です。この月食は残念ながら、お天気が思わしくなくてあまり見られなかったようなのですが、晴れてさえいれば日本全国から見えたはずでした。なので、「ベランダから月食を見ている」設定となりました。
月食・日食はセットで起こります。食が起こる場所(ドラゴンヘッド・テイル)は、約19年ほどをかけて12星座をぐるっと一周します。4月の月食は蟹座にとって「居場所、家族、本心」などを象徴する場所(4室)で起こりました。ゆえに、場所自体を「自宅・地域コミュニティ」を連想させるものにし、「心の中とか、プライベートな場所で特別なことが起こる」ということになったわけです。
木星は獅子座に位置し、蟹座にとっては「所有、財」の場所、平たくいえば「金運」を扱う場所に当たります(2室)。よって「宝物のありか」としました。この時期土星は射手座に一時的に足を踏み入れていたので、「あなたの果たすべき本当の役割」(6室)という話も出てきています。
小学校の先生に導かれる、というのも、2015年夏に木星が移動していく場所(3室)を暗示したつもりです。「学習」に関する場所だからです。
ページTOPへ
獅子座 LEO
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-720-9
木星が自分の星座に巡ってくる1年を「幸運期」と書いている記事が多く、私のもとにはしばしば「いま、自分は幸運期のはずなのに、なにもありません」というメッセージが寄せられます。経験的に、木星が自分の星座に来ている1年は、なんでもうまくいく、嬉しいことでいっぱいのラクチンハッピーな「幸運期」ではないように思います。むしろ、ドラマティックな変化の多い、劇的な変革期として経験されることが多いようなのです。なので私の記事では、木星が来る時期を「幸運期」ではなく「耕耘期」、すなわち、自分の可能性の畑を耕して、ここから12年をかけて育てていける幸福の種をまく時期、というふうに呼んでいます。
獅子座の物語は「突然、転勤を言い渡される」ところからはじまります。木星の巡ってくる時期に起こるのは、まさにそんなようなことが多いのです。木星自体「海外」に関係の深い星ですが、この春は金星と火星がそろって牡羊座を運行しました。この場所は獅子座にとって「旅、専門性、冒険」などを象徴する場所(9室)です。
獅子座のエピソードを特徴付けるにあたり、この星座の話だけ昼間にしました。なぜなら獅子座の支配星は太陽だからです。ほかの星座は星が見えるような時間帯を選んだのですが、獅子座だけ、太陽が照っている時間にすることで「らしさ」を出してみました。
ページTOPへ
乙女座 VIRGO
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-721-6
真夜中に庭先で物音がし、おそるおそる見に行くと、真っ白な子ウサギがうずくまっている、というエピソードです。これを読んだ読者から「なぜウサギなんですか? ネコやイヌじゃいけなかったんですか?」というご質問をいただきました。そうなんです。どうしてもウサギがよかったんです。なぜなら、ウサギはネコやイヌほどうるさくないですね(たぶん(まちがっていたらすみません、そういうイメージだったのです))。あまり声をあげて自己主張しない。この「声を出さない」ところが必要でした。
2015年の夏まで、木星は乙女座から見て12室という場所にあります。12室というのは「隠れ家」のような場所であり、秘密や犠牲、救済をテーマとするところです。ウサギはこっそり忍び込んできて「隠れて」いました。寒さにすくんでいるところを、静かに主人公に「すくいあげられた」わけです。
12室というのは、言語化が難しい場所だと思っています。心の奥深くにあるもの、過去や秘密、複雑な思いなどは、なかなか言葉にできるものではありません。名前をつけることも、詳述することも、とかく言葉にしにくいのです。でも、とにかく私たちの心の中には、子ウサギのようにやわらかい、傷つきやすい、やさしいかわいいものがあって、その部分に手を差し伸べなければならない時間というのがある、ということを表したかったのです。
子ウサギが飼い主のもとに戻るのも、ちょっと意味を含ませました。これから土星が入っていく射手座は乙女座から見て4室、すなわち「住処」を象徴する場所なのです。
ページTOPへ
天秤座 LIBRA
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-722-3
風船を飛ばしてしまって泣いている子どもに、木にのぼって風船をとってきてあげる、という話です。木のぼりするとき、主人公は自分が大きくなったこと、かつて苦労した木に自分がやすやすとのぼれるようになっていることに気づきます。ここはちょっとまわりくどいのですが、2012年から天秤座の人が「なにかを手に入れる力を強化してきた」ことを表したいと思いました。つかむ力、腕力のようなものを象徴したかったのです。
2015年の夏まで、木星は天秤座から見て「未来」を象徴する場所にあります。未来はなかなか見えにくいものですが、ここでは木の上のほうにのぼり、「現在」からすぽんと抜けた天空のような場所を描写することで、それを表現したいと思いました。過去・現在・未来を、子どもの頃の自分と今の自分、そして木の上の風景でイメージしてみたのです。
実は、紙面の都合で書かなかったのですが、この風船は、「両親のうち、離婚によって遠くに住んでいる親にこの日会っていて、その親に買ってもらった」という設定にしておりました。第三者から見ればただの風船でも、所有者にとってはそうではない、ということはあります。2015年後半、木星は乙女座(12室)に移動しますが、過去の経緯や、その人の心の中に秘められた真実、そして、無償の救済ということを、この「書かなかった部分」に託してみました。
ページTOPへ
蠍座 SCORPIO
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-723-0
家の建前のシーンです。子どもが、アスレチックのような不思議なそれに惹かれて、それにつられて親も作りかけの家に見入る、という設定にしました。この「プロローグ」では、別に星に興味もないし見る気もない登場人物になんとかして「自然に上を向いてもらい、星をみつけてもらう」ことが大前提でした。なので、なんとか「上のほうが面白くてその先に空がある」、つまりスケルトンの「家」を考えついたわけです。
2015年後半、土星は蠍座から見て2室、つまり「所有・財・経済」の場所に入ります。土星は時間を経たもので、ずばり不動産を象徴することもあります。不動産に限るわけではないのですが、何かどっしりと実体のある、時間に耐える「財」をこれから獲得していくことになるだろうということで、こういうシチュエーションを考え付きました。いまではかなり短期間に出来上がる家もあるようですが、長いあいだ住んでもびくともしないような、心から納得のできる家を作ろうと思えば、おそらく、それなりに時間もかかるはずです。「時間をかけて作る・手に入れる」ということが、ここからの蠍座のテーマです。
さらに、2015年の夏まで、木星が「社会的立場、キャリア」の場所(10室)に入っています。この時期、社会的立場が変わったり、なにかしらプロジェクトを「完成」させたりする人もいると思います。「社会的な場の完成」ということも、このエピソード全体に含ませたつもりです。
ページTOPへ
射手座 SAGITTARIUS
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-724-7
ひとつの「大騒ぎ」のようなミッションが終わり、新しい時間がはじまる、その境目の風景を描いてみました。2015年秋、射手座に土星が入ってきます。ここから2年ちょっとのなかで、射手座の人は「ひと回り大きく」なります。
「半年かけて仕込んだイベント」は、夏に獅子座に入った木星のイメージでした。木星は射手座の支配星で、獅子座のサブ的な支配星でもあります。獅子座は射手座から見て「冒険、専門性、旅」などを象徴する星座なのですが、射手座自体が冒険の星座なので、なにか非常に活性化するような活動、ごく忙しい、自分が中心的立場で動かなければならない状況をイメージしたのです。さらに言えば、2015年半ばから2016年、さらにその翌年にかけて、木星は射手座の人をかなり忙しい状態に置き続けます。大活躍の時期なのです。なので、このエピソードに描かれた「一段落」はまさに「一段落」でしかなく、すぐにもっとスケールの大きい二段落三段落が待っている、ということでもあります。
社会的立場が対外的にも、自分自身の実力としても「ひと回り大きくなる」のが、射手座のこの3年間であるはずです。
ページTOPへ
山羊座 CAPRICORN
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-725-4
2015年、土星は山羊座から見て「過去、秘密、隠されたもの、救済」を象徴する場所(12室)に入ります。ほかの星座でも土星の移動を軸として書いてきたわけですが、山羊座の場合はそこに、格別の重みがあります。というのも、山羊座を支配する星が土星だからです。いわば、自分の分身のようなものです。
ひとりで、過去に通った小学校に戻ってみる、というシチュエーションを描きましたが、コミカライズ作品(*)では、「秘密」までを描き出していただけて、感動しました。
自分がたどってきた道のりをじっくり確かめる、という作業は、いつでもできそうで、なかなかできないものです。最近、NHKの「ファミリーヒストリー」という番組を見たのですが、自分の親やその先祖がどんな歴史を持っているのか、よく知っているという人は少ないのかもしれないと思いました。歴史など知らなくてももちろん、生きていくことはできるわけですが、歴史を知り、歴史に踏み込んだところで、物事が変化する場合もあります。たとえば「まだ会ったことのない自分の親族や関係者を探しに行くロードムービー」というジャンルはとてもポピュラーです。そうしたドラマではたいてい、この旅自体が関係者の人生を変えていく様が描かれます。ルーツや過去をたどらなければ起こらないこと、というのもまた、あるのだろうと思います。
もちろん、この3年のなかで山羊座の人々が過去ばかりを見つめている、というわけではありません。それは、本文を読んでいただければよくおわかりいただけるかと思います。むしろ、世界全体を見つめて大活躍するような華やかな時間帯です。でも、そうした華やかな忙しい時間のなかでは、つい、隠れたもの、見過ごされているもの、傷ついている人々、立ち止まっている人々などを見過ごしてしまいがちです。そうした「見過ごされがちなもの」にあえて強いスポットライトを当てるのが、12室という場所の役割なのだろうと思います。
ページTOPへ
水瓶座 AQUARIUS
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-726-1
2015年の春は、火星と金星が牡羊座で華やかなダンスを繰り広げる時期で、さらに水瓶座の支配星である天王星も、そのダンスに加わっていました。牡羊座は水瓶座から見て3室、短い旅やコミュニケーションを象徴する場所です。ゆえに、国内旅行のシーンを描いてみました。主人公はガイドブックや喫茶店の店主との対話を通して、古い教会を目的地に定めます。目的地を教会としたのは、2010年ごろから水瓶座の12室(山羊座)に冥王星が位置しており、なにか隠されたものが大きな意味を持った状態の表現でした。12室は救済、宗教と結び付けられます(古典的には、9室が宗教です)。12室冥王星の、心の奥底に隠された、大きな思いの鉱脈のようなものを表してみました。
水瓶座の支配星は、現代では天王星ですが、もともとは土星でした(天王星は望遠鏡ができてから発見されましたが、星占いは望遠鏡よりはるかに古いシステムです)。2015年秋に射手座に入る土星は、水瓶座にとって「時間をかけて培うべき交友関係(11室土星)」を意味し、獅子座の木星は「一対一で関われる人間関係、それに関する恵み、ふくらみ(7室木星)」を示します。
11室土星、7室木星、といった世界は、「他者」「外の世界のもの」を象徴しています。見知らぬ人、別なバックグラウンドを持った人々、新しく後天的に知り合っていく人を意味します。「身近な人より、遠くにいる人のほうがわかりあえることもある」というのは、そのようなことを表しています。
ページTOPへ
魚座 PISCES
2014年11月刊行
定価 本体 630円+税
文庫判 並製 144ページ
ISBN 978-4-87290-727-8
「山のぼりをして展望台に行く、という目標をかなえる」話です。
2015年夏に土星が移動する先は、魚座から見て「社会的立場、目標、キャリア、天職」などを象徴する場所です。土星はここに2年ちょっと滞在するので、この間「社会的山のぼりをする」人が多いだろう、と思い、こんな設定にしてみました。ロケーションは、2014年の初夏に私が旅をした小樽の風景です(雑誌「開運帖」にその詳細が連載されましたので、ご興味の向きはぜひ)。冬場はもちろん、雪で閉ざされてそこにはのぼれないのが、現実とのズレです。
2015年の夏まで、木星は魚座から見て「義務、生活習慣、就労条件、ルーティンワーク、健康」などを扱う場所にありました。主人公はそのテーマのとおり、新しい職場でたくさんのタスクをこなしていたようです。生活習慣も大きく変わったに違いありません。冒頭「運動不足」などにも触れてみました(これは自戒の気持ちもあったのですが(笑))。
社会的に「ちょっと高めの山」にじっくりのぼった先に、「あなたの舞台」がある、というのは、魚座から見て10室に当たる射手座に土星が入った時間のテーマです。
一方、「山道の途中で素敵な出会い」というのは、2015年夏に乙女座(7室)に入る木星を意味します。さらに言えば、乙女座-魚座ラインの食(日食、月食)の季節が、2017年まで続きます。日食と月食は、星占いで用いる「ホロスコープ」では、ドラゴンヘッド・テイルという、地球から見た太陽と月の交点によって示されます。ドラゴンヘッド・テイル(月のノードともいいます)は、星占いの上ではさまざまな解釈があるのですが、「縁」「結びつき」を象徴するという説があります。不思議な出会いが起こる、というイメージは、この食の件も含んでいます。
この「プロローグ」の12篇の小説をタネにして、12人のすばらしい作家のみなさんに漫画作品を描いていただき、このほど、1冊のアンソロジーとしてまとめられることになりました。『3年の星占い』と併せてお楽しみいただければ幸いです!

http://www.gentosha-comics.net/book/label/cat5/birzc/cat1542/603809.html